職員の業務効率化に積極的に取り組む静岡県袋井市。
会議のペーパレス化などによって、印刷や製本にかかる費用や人件費を年間500万円ほど削減したといいます。業務のDXに成功している袋井市におけるLoGoチャットの普及・活用法に迫りました。
(取材日:令和3年8月19日)
お話をうかがった方
ICT政策課 情報システム係 久保田邦彦氏(写真右)
ICT政策課 情報システム係 井筒慎也氏(写真左)
静岡県袋井市
◆人口:88,050人(令和3年8月1日現在)
◆世帯数:35,528世帯(令和3年8月1日現在)
◆予算規模:356億円(令和3年当初)
◆面積:108.33km²
■ LoGoチャットを導入した理由・背景を教えてください。
コロナ禍により在宅勤務や分散勤務などのテレワークの重要性が増す中、電話やメールといった旧態の連絡手段に加えて、チャットツールを活用することで業務の効率化、生産性の向上につながるとともに、本市が進めているフリーアドレスにも有効に機能すると考えました。
チャットは電話とは異なり非同期コミュニケーションであるため、他の職員の業務を妨げないことがメリットです。ただし、行政事務で活用するので、LGWAN環境で活用することができる点が重要なポイントであり、自治体間で共通テーマのユーザーグループを作成できることも魅力的でした。
そこで2020年5月よりICT政策担当部門からトライアルで活用を開始し、庁内で徐々に水平展開をし、2021年4月に本格導入をいたしました。
■ 現在のLoGoチャットの活用状況について伺えますか。
LoGoチャットの活用によって、コミュニケーションが活発化し、意思決定のプロセスが迅速化しました。特に、新型コロナウイルスのワクチン接種業務や選挙事務、災害対策などの部局を横断する業務では非常に効果的に活用しています。こうした業務では、庁社外や近くにいない職員たちとも迅速に情報共有できることで、チャットがとても有効に機能していると実感しています。
■ LoGoチャットをどう評価されていますか。
職員向けのアンケート調査を行ったところ、ほぼ全員が高評価を付けるなど、期待以上の結果を得ています。導入にあたっては、経営層の会議体からスモールスタートし、その後トップダウンで全庁的に普及を進めたのが効果的だったとも考えています。
■ トップダウンでの声掛け以外に浸透に向けた施策は行われましたか。
職員が業務パソコンを起動した際、自動的にLoGoチャットが立ち上がるようアプリのショートカットを登録したり、スマートフォンの利用における職員の申請手続きの対応の際には、電子申請を活用したりするなど、事務を省力化しました。また独自のマニュアルも作成し、全職員に配布をしました。
また、人口約8.8万人で職員約1,000人の小規模自治体だからこそできたことだとは思いますが、利用頻度が少ない部署に対しては、「便利なツールなので一度で良いから使ってみてほしい」と直接伝えに行きました。ツールを導入して周知するだけでなく、実際に使ってもらうところまでをフォローすることが重要だったと思っています。
■ LoGoチャットの利用にあたって何かルールは決められていますか。
総務担当とともに、「チャットマナー」を作成しました。基本的に、職員同士のやり取りはチャット、外部の方との連絡はメール、全職員に伝えたいことがあればグループウェアの掲示板を利用する、という運用をしています。また、スマートフォンでチャットを利用するとなると業務時間のオンとオフの境が懸念されるため、特に管理職に対してはチャットの運用・利用ルールの理解を徹底してもらうよう意識しています。
また、「チャットマナー」の作成にあたっては、先行導入している自治体の皆様の取組や意見を参考にさせていただきました。改めて感謝申し上げます。こうした自治体間の横のつながりが持てるのもLoGoチャットの大きな魅力につながっていると思います。
■ 他にLoGoチャットの使い方で工夫されている点はありますか。
袋井市キャラクター「フッピー」のスタンプをLoGoチャット上で利用できるようにしています。もともとLINE用に公式スタンプを作成していたものをLoGoチャットでも利用しています。実際にフッピーのスタンプを活用している職員は多いですね。
■ 導入したLoGoチャットを今後どのように活用していきますか。
多くの職員が自分の業務に関係するユーザーグループに参加し、情報交換をしてほしいと思っています。また、活用方法の周知などを通じて、ノートやスタンプ、botなどの機能をスムーズに使いこなせる、LoGoチャットのエキスパート職員を増やしていきたいです。