「手上げ式」のデジタル人材育成で400手続きをオンライン化!明石市に学ぶDX推進

職員の意欲で前進する庁内DX。明石市のボトムアップ制度が全国注目の的に。ノウハウと実践例を紹介します。

「予算も職員も足りない中でDX化なんて…」と諦めていませんか?

「業務効率化」や「DX化」が叫ばれる中、自治体でのデジタル化も必須の時代となってきました。とはいえ、担当部署だけの推進に限界を感じている担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんなお悩みを抱える皆様へ、意欲ある職員による手上げ式で職員の挑戦を後押しし、庁内DXを成功させている自治体の取り組みをご紹介します。今回は、62名ものデジタル推進員が現場の最前線で活躍し、LoGoフォームを活用した行政手続きが400件にも上る、兵庫県明石市のデジタル推進課の寺田浩章様にお話を伺いました。

制度の成果「職員の意欲が庁内DXを加速させる」

明石市が取り組む「デジタル推進員制度」は、職員の自発的な「やってみたい」という意欲と挑戦を後押しし、庁内DXをボトムアップで推進するための独自の制度です。誰かに「やらされる」のではなく「やりたい」を応援する制度として創設されました

デジタル推進員がやること

メンバーを募集した結果、初年度には20名の募集に対し30名の応募があり現在では62名の推進員が活躍中です。彼らの活躍により庁内全体のDXが加速し、以下のような成果につながっています

  • 400件以上の行政手続きがLoGoフォームでオンライン化

  • 全庁的なDX化の機運向上
  • 8割以上が複数年にわたって継続して活動

  • 全国から制度説明の依頼が多数

「手上げ制」の背景

制度を設計するにあたり、様々な検討が行われました。

まず、デジタル化はあくまで課題解決の手段であり 、業務改善の目的を見失わないためには、行政の業務を深く理解していることが前提となります 。ですから、「行政経験のない外部人材を採用するよりも、行政経験のある職員がデジタルスキルを身につけることが、実は最も近道だと判断されましたまた、業務のデジタル化は研修を受けるだけでは身に付きづらく、「実践と試行錯誤を通じて獲得できるものという考えもあったそうです。

このような考えから、「誰かにやらされるのではなく、自分ごととして課題解決に取り組む職員が推進員になるべき」という考えに至り、手上げ方式での制度設計にこだわられました。意欲ある職員が集まることで、制度全体が前進するからです。

「やってみたい」を「やってみる」に変える仕組み

この制度は、「周りにどう思われるか」「自分だけ頑張っても...」といった、業務改善の際に職員が抱きがちな不安な気持ちに寄り添うことを前提として作られています。

職員の多くは、業務の課題や解決方法を思いついていても、
大変さや周りの反応への不安から、一歩を踏み出しづらい状況にあります 。そこで、「やってみたい」を「やってみる」に変えるための仕組みが整えられました。

職員の不安を取り除く仕組み

  • 「応援するスタンス」を全面に:募集チラシで「あなたのスキルアップと業務改善の取り組みを応援します 」と明記し、デジタル推進課が全面的にサポートすることをアピール

  • 活動時間を限定参加必須の研修は初回の1回だけとし、飲み会など業務時間外に集まるような活動はしない

  • 学習環境の提供:希望者には動画研修受講サービス受け放題で提供し、必要な知識を好きなタイミングで学べる環境を整備。予算は、国の財政措置(総務省の制度など)を活用し、自治体負担はほとんどない(実質3割負担程度など)。

  • 新型パソコンを優先的に配備:手挙げのきっかけになるよう、推進員には新型パソコンを配備。

  • ノーコード電子申請システム「LoGoフォーム」の個人アカウント配布:通常は課ごとに配布しているアカウントを推進員に限り個人アカウントを配布して、自由に試行錯誤できる環境を整備。

一般的に、電子申請システムではプログラミング等の専門知識が必要な場合が多く、その場合、いくら意欲があっても「私には無理かも」と諦めてしまう職員がいるかもしれません。 しかし、明石市で採用しているLoGoフォームは、ノーコードで直感的に操作できるツールだからこそ、現場職員が「これなら自分にもできそう」と安心して手を挙げることができたのではと分析されています。

また、人事部門と調整して、業績評価制度と連携する仕組みを整えたり、庁内のDX化推進には管理職の理解も大切だと考え、管理職向けの研修実施したりもしました。

管理職に向けたアプローチ

アウトプットを通じた「成功体験」の創出と成果の横展開

推進員に成功体験を積んでもらうため、2025年2月には「見本市」と称した成果発表会を実施されました。これは、推進員が自分の成長を客観的に確認し、自信をつける場となり、また、全庁的に推進員の取り組みを知ってもらう横展開のきっかけにもなりました

見本市の広報

見本市の当日の様子
取り組み区分 成果・詳細
手続オンライン化と様式変更で
200時間の業務削減
LoGoフォームでの作成により入力ミスが減少
200申請中195申請がオンライン経由に
様式の改良で作業効率UP
&イベント申請のDX化
ワークショップ申請の9割以上がLoGoフォーム回答
活用しやすさを実感し、引き続き対応を検討
マイナンバーカードに関する
手続きのオンライン化
来庁予約に利用し、待ち時間を短縮
電話・窓口以外の手段を増やしサービス向上
オンライン申請で得られたデータで帳票出力
国外からの決済手段をLoGoフォームで実現

さらに、令和7年度から「庁内デジタル推進支援制度」を開始。これは、「業務をデジタル化したいけれど、経験やノウハウがない」と悩む部署と、デジタル推進員とをマッチングする取り組みで、部署の垣根を超えてデジタル化の支援をします。推進員の経験・知識を生かして、LoGoフォームを使った手続のオンライン化や決済のオンライン化実現へのサポートなど、現在18件のサポートが行われています。

庁内デジタル推進支援制度の仕組み

成功の要因分析

明石市のデジタル化推進の成功要因は、以下の3点だと寺田様は分析します

  1. ボトムアップ、現場目線で制度を組み上げられたこと

  2. 上司含め周りが理解し、丁寧に説明することで「やってみよう」と言ってくれる文化があったこと

  3. 現場の職員が自走できる「ツール(LoGoフォーム)」があったこと 

私自身がこの制度を立ち上げることは大きな挑戦であり、当然不安もありましたが、上司が「やってみようよ」と背中を押してくれました。明石市の取組みを一つの事例として、皆様の参考になる部分があれば幸いです 。デジタル人材の育成は社会的な課題であり 、ぜひ今後も情報交換の機会などいただければ嬉しく思います 。

「小さなやる気」を形にする、身近な相棒

明石市の事例は、決して「遠い自治体のすごい取組み」ではありません。豊かな人材や大きな予算がなくても、「やってみたい」という気持ちが変化を生む原動力となり得ます。

その最初の一歩として、「LoGoフォーム」を試してみませんか?意欲があっても技術的な壁が高ければ挫折してしまいます。しかしLoGoフォームであればコードを書く必要がなく直感的に使えるため、現場を知る職員がボトムアップでデジタル化を進められるツールとして、強い味方になってくれるはずです。