【イベントレポート】LoGoAIアシスタントbot版 合同相談会 日常的に使用するLoGoチャットとの組み合わせで、生成AIが身近に!

2023年11月22日に、自治体様が抱える生成AIサービスの導入や利活用に関するお悩みを解消すべく、『LoGoAIアシスタントbot版 合同相談会』を開催しました!石川県小松市の竹内様、兵庫県三田市の岩﨑様にも登場いただき、導入に至った経緯や実際の利用例もお聞きしました。

『LoGoAIアシスタントbot版』は、自治体専用のビジネスチャットツール『LoGoチャット』からChatGPTが利用できるサービスで、2023年10月から本格提供を開始しました。

自治体様が抱える生成AIサービスの導入や利活用に関するお悩みを解消すべく、実際にLoGoAIアシスタントbot版を利用されている自治体様のリアルな声を聞くことができる『LoGoAIアシスタントbot版 合同相談会』を開催しました!

100名以上の自治体職員様に参加いただき、大盛況のイベントとなりました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

本レポートでは、ゲスト自治体様へのインタビューパートの様子をお届けします。

 

■イベント開催日時
2023年11月22日(水)15:00 ~ 16:00

 

■ゲスト自治体様

石川県小松市
総合政策部スマートシティ推進課兼市長公室未来型図書館づくり推進チーム
主査 竹内 裕樹様

 

兵庫県三田市
総合政策部未来戦略室スマートシティ推進課
係長 岩﨑 謙二様

 

導入の背景

ー 生成AIサービスの導入のきっかけや背景を教えてください。

(三田市・岩﨑)自治体による生成AIサービスの利用に関するニュースを多く目にするようになり、当市でも注目していました。4月に庁内でも生成AIを活用して新しい取り組みができないかという話があり、5月に推進体制を確立しました。
 スマートシティ推進課で全体の取りまとめをおこない、利用環境の整備やセキュリティの観点で庁内の情報システム部門、文書法制や個人情報保護の観点で総務課、企画部門の庁内調整役として政策課も巻き込み、最初から4部署で連携して検討しました。

 

(小松市・竹内)小松市でも、自治体による生成AIサービスの利用に関する記事が話題になりました。市長からも「AIが答えを出すわけではないけれど、まずは試しに使ってほしい」という声や、一部職員が個人のスマートフォンでChatGPTを使い始めていたという現状もあり、早急にルール整備が必要になりました。

 

ー LoGoAIアシスタントbot版を採用した決め手は何ですか。

(小松市・竹内)セキュリティの観点でLGWAN環境で利用でき、入力したデータがモデルの学習に利用されないため、安心して利用できる点です。
 また、職員が使うツールをこれ以上増やしたくない、という思いもありました。小松市では、庁内の正規職員や保育所の所長、状況に応じて会計年度職員にもLoGoチャットのアカウントを配布しているため、ツールを増やさずにChatGPTを利用できることも決め手となりました。

 

(三田市・岩﨑)管理者の視点では、職員が使うツールを増やしたくない、管理対象のツールを増やしたくない、という思いがありました。
 利用者の視点では、違うツールが新しくできると使いづらいのではと思い、手軽に使えるLoGoAIアシスタントbot版を採用しました。
 LoGoチャットで利用できるが故の制限、例えば表形式で出力が出来ないといった点もありますが、「カンマ区切りで書き出してください」と指示するとCSVに対応した形式で出力してくれるので表にすることができるように、プロンプトの工夫でカバーできる面もあります。

 

導入に向けて実施したこと

ー 導入に向けて研修などは実施されましたか。

(小松市・竹内)庁内のお知らせのほかに、各課から1名ずつ参加してもらう研修を実施しました。研修は、外部講師は呼ばず自前でおこない、ChatGPT・Bing AI・Bardの比較やLoGoAIアシスタントbot版のデモ、やってはいけないことの一覧の共有をおこないました。市長も呼び、生成AIへの期待を話してもらいました。
 ただ、それだけでは浸透しないので、個人的に各課へ寄った際に直接レクチャーする、といった草の根活動も実施しています。

 

(三田市・岩﨑)外部人材を呼んで合計3回研修を実施しました。
 まずは6月にChatGPTやLLM(Large Language Models)の特徴に関する研修を実施しました。参加者は公募で募りましたが、50名ほど集まりました。公募でここまでの人数が集まることは珍しいので、関心の高さを実感しました。
 8月には実際のツールとして、LoGoAIアシスタントbot版を使った操作研修をおこない、その後9月には業務でどのように使えるか、どのようなシーンで使えるかをディスカッションする研修を実施しました。
 研修内容は受講する職員のレベル感にあわせて調整し、生成AIでできることのハードルを上げ過ぎると、実際に使った時とのギャップが大きくなり使われなくなると考え、ChatGPTに対する期待値の調整も意識しました。

 

ー 三田市様では、なぜ外部人材を呼んで研修を実施したのですか。

(三田市・岩﨑)生成AIの特徴を知ってもらうためには詳しい人から説明してもらった方が良いと考え、大学の先生に講師を依頼しました。他にも1名外部人材に依頼しましたが、総務省の「地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業」のアドバイザー派遣を活用したので、それほど費用をかけずに実施できました。

 

ー ガイドラインやルールは策定されましたか。

(三田市・岩﨑)ディープラーニング協会のガイドラインを参考にして作成しました。情報量が多くても読まれないので、書き過ぎないこと・シンプルにすることを意識しました。
 現在は試行版ですが、ほぼ内容を変えずに正式版を策定する予定です。現在のガイドラインはWordファイルでも公開しているので、自由に使ってください。(※1)

▲兵庫県三田市様の生成AIの利用ガイドライン(試行用)令和5年7月策定


(小松市・竹内)先行的に導入している自治体のガイドラインを参考にして作成しました。ChatGPTからの回答を鵜呑みにしてはいけないということや、得意なこと・不得意なことを明記しています。最初から100%の内容になっていなくても、利用していく中でアップデートしていこうという前提で作成しましたね。

 

実際の活用シーン

ー 実際にどのような業務・シーンで活用されていますか。

(小松市・竹内)一番多い利用シーンは挨拶文の原案の作成で、職員からも楽になったという声が多いです。Excelの関数やマクロのコード作成、句読点の正しい位置を確認してもらうなど文章の校正で利用している職員も多いです。

 

(三田市・岩﨑)三田市でも、挨拶文の作成で利用している職員は多いですね。定例的な文章の場合、去年の文章を貼り付けて今年用にアップデートするためにプロンプトで指示を加える使い方が便利です。
 それ以外では、研修の企画立案時に、構成やアイスブレイク、ペルソナの設定で利用したり、インターンシップの企画立案で利用しています。協議するためのトークスクリプト作成や、記者発表における想定問答集の作成でも使われています。

 

ー 効果を感じた業務・シーンを教えてください。

(三田市・岩﨑)例を挙げるなら類義語の洗い出しですね。ChatGPT は検索に不向きと言われていますが、類義語を10個調べるなど、インターネットで検索しなくても、LGWANにあるLoGoチャットでおこなったほうが早いという声がありました。

 

(小松市・竹内)これまでは、マクロのコードなど、システムやツール関連で分からないことがあれば、とりあえず情報部門に聞いてみようという風潮がありました。それが、分からないことがあれば、まずはLoGoAIアシスタントbot版に聞いてみて、それでも分からなければ情報部門に問い合わせるという流れに変わってきています。情報部門としては庁内問合せの削減に繋がっていますし、組織文化の醸成にも役立っていると感じています。
 今後は、さらに使ってもらう中で、それぞれの職員に合った使い方が見出せたら良いなと思っています。

 

今後に向けて

ー 今感じている生成AIサービス利活用の課題はありますか。それをどのように乗り越えようと考えていますか。

(小松市・竹内)利用を促進させていくためにも、生成AIの得意・不得意を更に周知していかなければなりません。今後も回答精度は向上していくと思いますし、上手に使えば本当に良い相棒になると思うので、個人的には期待しかないと感じています。ただ、現時点では誤った情報を回答してきたり、不得意な分野もあるので、それを各職員が正しく理解・判断しながら使ってもらえるように、研修などを通じて周知していきたいです。

 

(三田市・岩﨑)最近は予算要望時期で業務が忙しく、庁内普及が滞っていたのですが、今後は生成AIサービスの利活用という粒度ではなく、「LoGoAIアシスタントbot版を業務の相棒として、どうやって使いこなしていくか」ということを職員に働きかけていきたいです。

 

最後に

ー 参加されている自治体様に向けて、ひとことお願いします!

(三田市・岩﨑)まだまだ上手くいっているとは言い切れないので、引き続き皆さんと一緒に頑張っていきたいと思っています。何かあれば、LoGoチャットUG(※2)でも声をかけてください。

 

(小松市・竹内)LoGoAIアシスタントbot版もですが、LoGoチャットも上司の理解を得ることに苦労しました。草の根活動はしんどい時もありますが、地道に仲間を増やして一歩一歩進むことが大事だと思っています。皆さん一緒に頑張っていきましょう。

 


※1 兵庫県三田市様のガイドライン等はこちら。
         https://www.city.sanda.lg.jp/shisei_joho/1/22601.html

※2 LoGoチャットUG(ユーザーグループ)は、LoGoチャット上に開設された全国の自治体職員のためのコミュニティです。
        https://publitech.fun/entry/2020/08/28/155755

 

 

小松市様、三田市様、ありがとうございました!